
「最近の若い建築家は、建築の美しさについてあまり語らなくなりました」と話す伊東豊雄さん
「中野本町の家」「せんだいメディアテーク」「台中国家歌劇院」といった代表作で知られる世界的建築家、伊東豊雄さん。新著「誰のために 何のために 建築をつくるのか」では、自身の作品を振り返りながら、建築とは何か、建築は人に感動を与えられるのか、と問いかけ、建築家の使命や、建築と自然との関係についても率直につづっている。根底には、近代主義に基づいた建築への懸念があるという伊東さんに、本書に込めた思いを聞いた。(共同通信=酒井由起子)
▽土から離れていっている東京
―本書を刊行したきっかけは何ですか。
「元々は僕が主宰する『伊東建築塾』で、これからの建築の在り方をテーマに講義した内容を基に書いたもの...
残り1908文字(全文:2208文字)