記者会見で裁ち合わせパズルの証明について説明する北陸先端科学技術大学院大の鎌田斗南助教(右)と上原隆平教授=2025年3月、東京都港区
 記者会見で裁ち合わせパズルの証明について説明する北陸先端科学技術大学院大の鎌田斗南助教(右)と上原隆平教授=2025年3月、東京都港区
 研究チームが最適の解であることを証明した「デュードニー分割」。4ピースに切り分けた正三角形(左)を並べ替えると正方形になる(鎌田斗南・北陸先端科学技術大学院大助教提供)
 三平方の定理を証明する裁ち合わせパズルについて解説する秋山仁・東京理科大栄誉教授

 「正三角形をできるだけ少ないピースに切り分け、並べ替えて正方形を作れ」―。約120年前に英国のパズル作家が提示した問題に北陸先端科学技術大学院大(JAIST)などの研究チームが挑み、「3ピース以下の解は存在しない」ことを証明した。使ったのは「位相幾何学(トポロジー)」を取り入れた新手法。これまで最有力とされながら確証がなかった「4ピースが最適」という解の正しさを裏付け、世紀を超えた論争に決着をつけた。

 ▽ないことの証明

 図形を分解し、別の形に作り直すパズルは「裁ち合わせパズル」と呼ばれ、世界中で古くから親しまれてきた。

 今回証明したのは1902年にヘンリー・デュードニー氏が新聞のパズル連載で...

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