
「鳥類学者の半分は、鳥類学ではできてない」
著者は、主に無人島に生息する鳥の生態を研究する鳥類学者。「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」(2017年)がベストセラーとなり、注目を集めた。本書でも、研究には無関係な話を挟みつつ、研究の失敗を包み隠さずつづっており、面白おかしい語り口は健在だ。
13年、東京・小笠原諸島の西之島で約40年ぶりに噴火した後、各島の生態系の調査に参加している。本書では島への上陸調査の様子を紹介し、生物学者の日常や研究の意義を軽やかな筆致で表している。
南島で鍾乳洞に残された鳥の骨を拾ったり、新潟・粟島で、ネコが鳥をどれくらい食べているのかを調べるためにネコのふんを採取したり、研究の過程は地味で地道だ。...
残り509文字(全文:809文字)