
植物分子系統学について語る長谷部光泰さん=6月、愛知県岡崎市
陸上に植物が出現したのは約5億年前、淡水で生活していた緑藻類の進出が始まりと考えられている。やがて陸上植物はコケ植物やシダ植物、花を咲かせない裸子植物や咲かせる被子植物へと多様な進化を遂げ、現在、その数は30万種とも言われる。基礎生物学研究所の長谷部光泰教授(62)は遺伝子を切り口に、陸上植物の進化の道筋(系統)を探求してきた。
以前の生物学では「形が似ているから近縁」というように、見た目の特徴から類縁関係や進化の過程を推定していた。しかし、主観の入りやすい方法では研究者間で見解が一致しないことがままある。「植物図鑑を見ても、系統関係の記載はまちまちだった」と長谷部さんは振り返る。
東京大大...
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