高病原性鳥インフルエンザに感染したゼニガタアザラシを調べる北海道大ワンヘルスリサーチセンターの日尾野隆大准教授(左端)ら=2025年4月、北海道根室市(同センター提供)
 高病原性鳥インフルエンザに感染したゼニガタアザラシを調べる北海道大ワンヘルスリサーチセンターの日尾野隆大准教授(左端)ら=2025年4月、北海道根室市(同センター提供)
 高病原性鳥インフルエンザに感染したゼニガタアザラシ=2025年4月(根室市歴史と自然の資料館提供)
 日尾野隆大・北大准教授が想定する感染ルート(イメージ)
 日尾野隆大・北海道大准教授

 今春、北海道でラッコとアザラシが高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染して死ぬ事例が相次いだ。海獣の鳥インフル感染死は海外での報告はあったが、絶滅危惧種であるラッコの事例は世界初、アザラシは国内で初めて。専門家は希少種の個体数がさらに減る事態を警戒しており、監視と検査の体制づくりが急務と訴えている。

 ▽不明

 「遅かれ早かれ起きると考えていた。ついに来たかという思いだ」。ウイルスの分析を進める北海道大ワンヘルスリサーチセンターの日尾野隆大准教授(ウイルス学)は危機感を強める。

 北海道野生動物対策課によると、今年4月以降に根室市など道東部で見つかったラッコ4頭、ゼニガタアザラシ2頭の死骸から高病...

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