
東京・市谷の防衛省=24日
台湾有事を想定した日米の机上演習で、自衛隊は米軍に「核の脅し」をするよう迫り、米中間は一時高い緊張状態に陥った―。「核なき世界」という理想からはほど遠い、極限の事態を見据えたシミュレーションだ。中国が核戦力の増強を加速させ、米ロによる相互抑止の均衡が揺らぎつつある。日本は「拡大抑止」戦略への依存を強めるが、ある政府関係者は「核使用の責任を米とともに負えるのか」と指摘する。
▽衝撃
「中国の核の脅しには米国も核の脅しで対抗を!」。昨年2月、東京・市谷の防衛省地下にある中央指揮所。同省制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長が強い口調で、米インド太平洋軍のアキリーノ司令官(当時)に何度も迫った。アキリー...
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