米ホワイトハウスで手を振るトランプ大統領=7月31日(ロイター=共同)
 米ホワイトハウスで手を振るトランプ大統領=7月31日(ロイター=共同)

 トランプ米大統領は相互関税を7日に引き上げる大統領令に署名した。撤廃を求めた日本や欧州連合(EU)の主張は退けられ、強権的な保護主義が世界を「侵食」する。高関税が前提の「ニューノーマル(新常態)」に突入し、翻弄される日本企業は供給網再編など対応が急務。米国自身も物価高リスクにさらされ、世界経済は視界不良が続く。

 ▽本音

 「さらなる関税の低減を含め、米国と未来志向の対話をしていただきたい」。日本自動車工業会の片山正則会長は7月31日、石破茂首相にこう訴えた。日米合意に胸を張る政府とは対照的に、関税に脅かされる経済界の苦境をにじませた。

 合意で、日本は米産品の輸入拡大などと引き換えに、米国から相...

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