
聖者アガスティアによる「予言の証書」を写本した葉の束を手にするラクシュマナン・マニカム=2025年4月、インド南部タミルナド州ウェストタンバラム(撮影・武隈周防、共同)
何十枚もの硬い葉を束ねたひもを解き、おもむろに1枚目をめくる。
刻まれた古代文字を一読すると、南インド人らしい温かみをたたえた目をこちらに向けた。
「あなたは長男ですか」「イエス」「職業は医療関係ですか」「ノー」
通訳を介した質問に「ノー」と返すと、ためらわず葉をめくっていく。
ベンガル湾に臨むタミルナド州の町ウェストタンバラム。葉の束は数千年前、世にあがめられた聖者が未来を生きる私たち一人一人に残したとされる「予言の証書」の写本だ。
その保管と解読を先祖から受け継ぐラクシュマナン・マニカム(46)が、3本目をほどく。
次々に読み進めるうちに、探し求めた1枚が見つかった。「イエス」と答え続け...
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