
取材に応じるジャマル・カショギ氏の妻ハナンさん=8月、ワシントン近郊(共同)
サウジアラビア王室を批判していたサウジ人記者ジャマル・カショギ氏=当時(59)=が、2018年10月にトルコのサウジ総領事館で当局者に殺害されて7年。妻ハナンさん(56)の人生は事件で暗転した。亡命先の米国では孤独に苦しみ、生活は厳しい。それでも、理不尽に異論を封殺したサウジ政府の罪を問いただし、最愛の夫の無念を晴らしたいと願う。
▽形見
「ふとした拍子に『なぜこんなことが起きたのか』と自問し、息が苦しくなる」。8月、米首都ワシントン近郊。何重にも施錠した自宅でハナンさんが打ち明けた。著書やシャツ、結婚証明書。傍らに夫の形見が並ぶ。
カショギ氏はサウジ当局の圧力を受け米国に移住し、その後もワ...
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