今年の国連総会で最も注目を集めたのは、イスラエルの終わりなき暴力と野放図な入植によって存在自体が脅かされるパレスチナの国家承認を後押しするうねりだった。フランスが主導し、「アラブの盟主」を自任するサウジアラビアが推進した結果、承認した国は国連加盟国の8割超の約160カ国となった。

 しかしイスラエルとパレスチナの2国家共存を支持し、パレスチナの国造りに汗をかいてきた日本は決断を見送った。岩屋毅外相は国連本部で「『するか否か』ではなく『いつするか』という問題だ」と演説し、今後の承認に含みを残したものの、日本は少数派となった。その底流には「トランプの影」と国内政治の動揺が見て取れる。

 「苦渋の外相...

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