こうじ菌の様子を見る玉置尚徳・鹿児島大教授=鹿児島市
 こうじ菌の様子を見る玉置尚徳・鹿児島大教授=鹿児島市
 培養中の酵母が入った容器を手にする玉置尚徳・鹿児島大教授=鹿児島市
 鹿児島県とともに芋焼酎の生産が盛んなことで知られる、宮崎県の酒造工場でのサツマイモ選別作業=2025年8月
 芋焼酎造りの主な工程

 九州や東京島しょ部で造られる焼酎は、幾度かのブームを経て全国で親しまれるようになった。焼酎の歴史は約500年に及ぶといわれるが、経験や勘で培われた製造工程には、謎が多く残っていた。近年、大学や酒造会社を中心に研究が進んだ結果、こうじ菌の存在が焼酎の品質や特徴を大きく左右するメカニズムが分かってきた。

 ▽多量のクエン酸

 酒類総合研究所(広島県東広島市)によると、焼酎を造るには、まず蒸した米などにこうじ菌を加えてこうじを造り、そこへ酵母、次にイモなどの原料を入れて発酵を進める。できた「もろみ」を沸騰させ、生じた蒸気を冷却して再び液体にする蒸留を経て完成する。

 こうじ菌の酵素が原料のでんぷんを糖に...

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