気温が上がり、窓を開ける機会が増える季節。子どもの声やペットの鳴き声、音楽などの生活音が近所迷惑になっていないか、気になる人もいるだろう。全国的に騒音をめぐって周囲とトラブルになるケースも後を絶たない。家庭でできる対策を専門家に教えてもらった。

 「家庭から出る騒音は、加害者になっていても気付かないことが多いのが特徴。自分には心地よい音楽も、他人には騒音かもしれません」。住居学が専門で、新潟青陵大短期大学部(新潟市中央区)の五十嵐由利子副学長はこう注意を促す。

 受け手の健康状態や生活リズム、さらには音の好みなどによっても感じ方は異なる。五十嵐副学長は「夜間に帰宅後、窓を開ける場合はもちろん、赤ちゃんや病気の人が近くに暮らしているなら、日中も音漏れに配慮を。相手の状況を想像する思いやりが大切です」と話す。

 防音対策は、インテリアの工夫でも可能だ。インテリアコーディネーター新潟協議会(中央区)の土田玲副会長は「柔らかい素材を使い、外に出る音を減らすのがポイント」と説明する。凹凸が多く、空気を含む素材は音を吸収する効果がある。例えばカーテンなら、太い糸でざっくり編み、ひだが多い厚手のもの、ソファも布製がお薦めという。「クッションや縫いぐるみなどを一緒に置くのも、吸音に役立ちます」

毛足の長いカーペットやラグを敷いたり、クッションを置いたりすることも防音の効果がある=新潟市中央区船場町のシンコール新潟ショールーム

植木、生け垣なども効果

 音の出入り口となる窓回りも注意が必要だ。カーテンを掛けたり、布製のついたてを立てたりするほか、「ベランダや窓際などに、緑のカーテンや植木を置いたりするのも手です」と土田副会長。

 また、床や壁などを通して伝わる音にも気を付けたい。集合住宅で天井から響く足音はその典型例。気になる場所には、厚手で柔らかく、毛足がループ状のカーペットや、ホームセンターで売っているタイルマットなどを敷くのが効果的だ。大きな音が出るテレビなどは壁から離す。壁際には、奥行きのある本棚や扉付きの棚などを置くといいそうだ。

 外回りも騒音源がないか確かめたい。例えば、エアコンの室外機。コンクリートなどの地面にじかに置くより、ブロックに乗せるだけでも音の軽減になる。風鈴の音が気になる人もいる。風向きを考え、夏が終わったら外すようにしたい。

 逆に外からの音が気になる場合もある。窓を閉めて遮音するほか、庭先にブロック塀や、目の細かい生け垣を設置することで多少の緩和効果があるという。土田副会長は「近隣と人間関係を大切にし、お互いにストレスのない環境づくりを心掛けて」とアドバイスする。

2016年6月2日朝刊