2度の日朝首脳会談の意義や課題について語る早稲田大の重村智計名誉教授=東京都
2度の日朝首脳会談の意義や課題について語る早稲田大の重村智計名誉教授=東京都

 2004年の第2回日朝首脳会談2002年9月の第1回日朝首脳会談で北朝鮮は拉致を認め、謝罪。日朝間の不幸な過去を清算し、諸懸案を解決するなどの共通認識を確認した日朝平壌宣言が調印された。宣言で日本は国交正常化後の経済協力などの実施を明記。北朝鮮は「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」と表現した拉致の再発防止を約束した。02年10月に蓮池薫さんら5人が帰国。04年5月の第2回会談で蓮池さんらの子どもたち5人を日本に迎えた。から20年がたった。この間、日本政府は拉致被害者を一人も取り戻せず、首脳会談も一度も行われていない。一方、2024年は北朝鮮朝鮮半島の北部にある国。正式名は朝鮮民主主義人民共和国で、通称が北朝鮮。首都は平壌。外務省によると人口は約2578万人(2020年、国連統計部)で、国土の広さは日本の3分の1ほど。朝鮮労働党の指導の下で国家活動を行うとされ、党の総書記は金正恩氏が務める。日本と外交関係(国交)はない。また日本との間に「拉致問題」が存在するが、北朝鮮は「解決済み」と主張している。の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が相次いで日朝関係の談話を発表するなど、従来と異なる動きもあった。首脳会談の背景や課題について、早稲田大の重村智計(としみつ)名誉教授(78)に聞いた。(報道部・樋口耕勇)

-第2回日朝首脳会談の背景は。

 「北朝鮮は02年の経済政策で市場経済に近づけようとしており、日本の経済協力が欲しかった。米国のブッシュ大統領が北朝鮮などを『悪の枢軸』と名指しして米朝の緊張が...

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