赤ちゃんが食べる楽しみを知り、発育にとって重要な「離乳食」。ただ、大人の食事と離乳食を分けて用意するのは、時間も手間も掛かる。県栄養士会会員でフリーの栄養士として活動する、小林則子さん(68)=新潟市中央区=に、離乳食だけでなく、ひと手間加えれば大人のおかずにもなる「蒸し野菜の活用法」を教えてもらった。

【写真】蒸し野菜を活用して作った大人のおかず。蒸すことで野菜の甘みが増した

 小林さんはこれまで、育児相談会などで母親らから離乳食の悩みを聞いてきた。「一生懸命作ったのに、子どもが食べてくれない」と悩むうちに、離乳食作りにストレスを感じる人が少なくないという。

 家族のために別の料理を作るとなるとさらに大変になる。そこで、小林さんが提案するのが蒸し野菜を使い、簡単で時短にもなるレシピだ。小林さんは「大人も赤ちゃんも一緒に同じ素材が食べられる」と勧める。

 また、「蒸す」という調理法は、栄養の流出が少なく、軟らかく仕上がるため、離乳食にぴったりだという。

 作り方も簡単だ。まず、ジャガイモやカボチャ、ブロッコリーなどの野菜をざく切りにして、蒸し器に並べる。大人用のおかずとして、殻をよく洗った卵や鶏のささみも一緒に入れる。蒸し器内の水に大根やシイタケを漬けておけば、だし汁として使える。

【写真】蒸し器に野菜などを並べる小林則子さん=新潟市中央区

 約20分蒸し上げたら、野菜をつぶしてペースト状にすれば離乳食に。赤ちゃんの成長に合わせてお湯でのばし、なめらかに仕上げよう。「蒸せば野菜の甘みが増すから、味付けしなくても大丈夫」と小林さん。

【写真】蒸したジャガイモをつぶして作った離乳食。粉ミルクを加えてなめらかに仕上げてもいい

 大人用には塩やしょうゆなどの調味料のほか、ほかの野菜を加えることで簡単なおかずが何品も出来上がる=表参照=。

 「ブロッコリーとカニカマのとろみあえ」は、だし汁に水を加えて沸騰させ、具材を入れて片栗粉でとろみをつければ完成する。

 「ポテトサラダ」もジャガイモを1センチ角に切り、ニンジンや卵、あらかじめ切っておいたキュウリを加えてマヨネーズなどで味付けする。

 小林さんは、蒸して軟らかくなった野菜は、かむ力が弱くなった高齢者にもお薦めという。「応用を利かせればほかにもいろいろなおかずができる。頑張りすぎず、楽しんで料理をしてほしい」とアドバイスする。