特に朝晩は冷え込み、肌寒さを感じるようになった。天気予報でも、県内は今週末から、平年に比べて気温が低い日が続きそうという。物置から石油ファンヒーターやストーブなどの暖房機器を出そうと考えている家庭も多いのでは。使い始めに当たっては、手入れをきちんとすることが肝心だ。

 石油暖房機器メーカーのコロナ(三条市)によると、暖房機器を使い始めるこの季節は「動かない」「臭いや煙が出る」といった問い合わせが増える。開発担当の久保田伸一さん(51)は「ごみや不良灯油が原因のことが多い。シーズンの始まりに掃除や点検をきちんとすることで、暖房機器を長持ちさせられる」と手入れの重要性を説明する。

 ファンヒーターでチェックしたいのは、背面にある空気の取り入れ口やフィルターだ。目詰まりすると空気の流れが悪くなり、燃焼不良を起こしたり、内部の熱が上がって安全装置が働きやすくなったりする。「掃除機や歯ブラシで丁寧に掃除してほしい。同時に、プラグにもほこりが付いていないか確認して」と久保田さん。

石油ファンヒーターは、掃除機などで空気の吸い込み口のほこりを取り除く=三条市東新保のコロナ

 石油タンクを入れる部分の底にある受け皿にも、注意を払いたい。タンクの灯油を空にしていても、底に昨シーズンの灯油が残っていることもある。底にある「フィルター」を取り出し、灯油があれば、ポンプなどで抜き取る。フィルターにごみが付いていれば、新しい灯油で洗うといい。

 石油ストーブについては、灯油タンクが空の状態で点火操作し、自然消火するまで燃焼させる「空焼き」と、芯の点検をする。空焼きによって芯に熱が通り、不純物を取り除く効果が期待できる。空焼きは必ず風の当たらない室内で、換気をしながら行う。新しい灯油を入れた後は20分以上置き、芯に十分灯油が染み込んでから点火する。

石油ストーブは芯に劣化や異常がないか確認し、空焼きをする

 灯油は変質すると、黄色くなったり、酸っぱい臭いがしたりする。昨シーズンの灯油を使うのは故障などの原因にもなる。

 購入した灯油は納屋などに保管し、直射日光や高温を避ける。久保田さんは「灯油は『推奨』と書かれた赤など色付きのポリタンクを使い、乳白色のものは使わないこと。ふたをしっかり閉めて保管して」と注意を促す。

 もちろん、使用する際も慎重に。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2010~14年度までの5年間で石油ストーブによる事故は全国で301件、石油温風暖房機は162件の報告があった。火災を伴うケースが多く、NITEは「給油時は必ず消火をし、タンクのふたがしっかりと閉まっているか確認してほしい」と呼び掛ける。