
日本の子どもの約3割に、日常的に口が開いてしまう「お口ぽかん(口唇(こうしん)閉鎖不全)」の症状があることが、新潟大学などの研究グループの調査で分かった。子どもの口の発達などに悪影響が出る可能性があり、研究グループは「診療のガイドラインを策定する必要がある」と指摘。新型コロナウイルス予防によるマスク着用の定着でさらに増加することも懸念している。
【写真】自然治癒が難しい子どもの「お口ぽかん」(齊藤一誠准教授提供)
「お口ぽかん」は唇や舌の筋力の弱さ、口呼吸などが要因で起こるとされており、放っておくと、歯並びや口の発達に悪影響を及ぼすことがある。新潟大、大垣女子短期大学、鹿児島大学によるグループは2014年、全国の小児歯科医院を受診する3~12歳の子ども3399人を対象に、保護者へアンケートを実施。全国的な調査は初めてで、「お口ぽかん」を示す子どもの割合が30・7%に上った=図1=。

また、「出っ歯だ」「鼻がつまる」などの質問の回答と、「お口ぽかん」の有無に相関関係が見られたことから、歯並びやアレルギー性鼻炎などとも関連していることを確認。地域差は確認されなかった。
年齢が上がるほど割合が高くなる=図2=ことから、自然治癒が難しい疾病の可能性があり、今後も病態解析などを行う必要があるとしている。

中心メンバーである新潟大大学院医歯学総合研究科の齊藤一誠准教授は、新型ウイルスの感染拡大による生活の変化が、影響を与える可能性を指摘。「マスクで口元が隠れることで口呼吸になりやすく、周囲も気付きにくい。歯並びなどに影響が出てからでは治療に時間がかかるので、早めの対策が必要だ」と話している。

