荷物の梱包などに使う再生PPバンドの出荷を行うウッドプラスチックテクノロジーの新潟第一工場=柏崎市西山町坂田
荷物の梱包などに使う再生PPバンドの出荷を行うウッドプラスチックテクノロジーの新潟第一工場=柏崎市西山町坂田

 東京大発のベンチャー企業「ウッドプラスチックテクノロジー(WPT)」(鳥取県倉吉市)は、新潟県柏崎市に設けた再生PPバンドの製造工場を本格稼働した。荷物の梱包(こんぽう)などに使われたPPバンドを回収し、リサイクルする。工場を大分県と柏崎市の2拠点にすることで、輸送を効率化し、二酸化炭素(CO2)の排出量を17%削減した。社会的に環境意識が高まる中、再生PPバンドの市場シェア拡大を目指す。

 WPTは2008年に設立。東大の安藤直人名誉教授が開発した、木質繊維とプラスチックの複合材料「ウッドプラスチック」の製造技術を使った建設、物流資材などを手がけている。従業員数は46人で、23年12月期の売上高は約10億円。

 PPバンドは現在、使い捨てが主流だが、WPTは使用済みPPバンドを取引先の製造業者などから回収、リサイクルして再生PPバンドとして販売する仕組みの構築を進めてきた。

 だが、再生PPバンドの製造工場はこれまで大分県にしかなく、東日本の取引先から使用済みPPバンドを送ってリサイクルすると、物流コストやCO2の排出量が増えることが課題だった。また、運転手不足で物流が滞る「2024年問題」への対応も求められていた。

 そこで23年、使用済みPPバンドを原料とするペレットの製造工場を柏崎市軽井川に、このペレットを使った再生PPバンドの製造工場を柏崎市西山町坂田に設けた。総事業費は約5億円で、24年8月から製品の出荷を始めた。

 柏崎への進出には、取引先が多い関東に近く、東京電力柏崎刈羽原発の立地に伴う電気料金の補助制度があったことなどが決め手になった。製品の製造には大量の電気が必要だが、柏崎は比較的低コストで電力を賄えることから、工場の使用電力は全量を通常電力より高い再生可能エネルギー由来のものに切り替えた。柏崎ではこれまで12人を雇用しており、今後20人程度に拡大する方針だ。

 WPTによると、...

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