「わくわく感の一方、不安もあります」と話しながら開店準備作業をする前谷崇博さん=新潟市中央区
「わくわく感の一方、不安もあります」と話しながら開店準備作業をする前谷崇博さん=新潟市中央区

 2024年12月の帰宅時、新潟市中央区のJR新潟駅近くで「焼き肉屋始めます」という手書きのプラカードを抱え、自作のチラシを配る男性がいた。話を聞けば、サッカーのU-16(16歳以下)日本代表に選出され、大学時代はサッカー男子の全日本大学選手権(インカレ)で優勝を果たしたメンバーで、輝かしい実績を持つ元サッカー選手だった。なぜ新潟市で焼き肉店を開業するのか。本人に思いを聞いてみた。(論説編集委員・仲屋淳)

 新潟市中央区米山4で「焼肉まえちゃん」を開店するのは、新潟市北区の前谷崇博さん(28)。「緊張しますよ」。前谷さんは1月18日のプレオープンを前に、店内をチェックしていた。

 北区出身の前谷さんがサッカーを始めたのは、葛塚小1年のころだ。

 地元のサッカークラブで良いプレーをすると、「みんなが喜ぶ姿が何よりもうれしかった」という少年はメキメキと実力をつけた。

 中学生時代はグランセナ新潟FCジュニアユースに入り、14歳でU-16日本代表に選ばれた。高校進学時は複数のJリーグユースチームや、国内の強豪高校から声がかかった。

 「一番厳しい環境こそが成長できる」と考え、プロ選手を数多く輩出するガンバ大阪ユースを選び、寮生活が始まった。

▽厳しい競争

 ガンバユースは各地から才能あふれる選手が集まる。U-16日本代表だった前谷さんでさえ、周囲のレベルの高さに圧倒された。

 高校3年生時は...

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