朝、歩いて学校に向かう子どもたちの笑い声が響く。街中でも、里山でも、かつては当たり前に見られた光景だ。

 それが失われつつある。県内各地で子どもが減り、地域は将来像を描きにくくなっている。

 きょう「こどもの日」に、子どもを育んできた地域の将来についても考えたい。

 本県の14歳以下の子どもの数は4月1日時点で21万5818人と、2005年からの20年間で11万人以上、約35%も減った。同じ期間の県人口全体の減少率は約14%だ。いかに子どもが減っているかが分かる。

 状況は中山間地を多く抱える地域ほど深刻だ。20年間で7割も減った阿賀町、6割減の関川村をはじめ、加茂市、村上市など10市町村が半数以下になった。

 こうした状況に伴い、小中学校が次々と再編され、地域から姿を消している。

 文部科学省の学校基本調査によると、県内では05年から24年までに、分校を含め、小学校が576校から433校に、中学校が248校から228校に減った。

 05年に柏崎市と合併した旧高柳町のように、一つの自治体だったエリアから、小中学校ともなくなった場所もある。

 加茂市が30年度までに中学校を5校から1校に、小学校を6校から2校にする計画を示すなど、学校再編はさらに加速しそうだ。

 地域から学校がなくなる影響は大きい。学校が教育の場という以上の役割を担ってきたからだ。

 県内には、住民が学校を通じて児童・生徒と積極的に関わっている地域が多くある。子どもに伝統文化や郷土料理を教えたり、一緒に祭りを盛り上げたりして住民に活力を与えてきた。

 地域のよりどころであった学校がなくなるということは、活性化の核となる場所を失うことになりかねない。

 県内に複式学級が160余りもある状況を踏まえれば、学校を再編して適正規模を維持することは学ぶ環境を整える上で現実的な選択なのだろう。ただ、それによって地域が活力を失うことは避けなければならない。

 どんな対策が考えられるだろうか。県内では、小中一貫校という形で学校を維持するよう求める声が上がる。その先進地として、同一施設で保育園・小・中の一貫教育を行う湯沢町の例がある。

 学校がなくなっても、地域と子どもたちとのつながりが続いている事例も参考になるだろう。

 例えば、柏崎市の民俗芸能「綾子舞」の伝承学習は、統合前の学校と地域による取り組みが統合先に引き継がれ、長く続いてきた。

 子どもの減少が、そのまま地域の衰退につながらないようにするために、何ができるか。地域を挙げて知恵を絞りたい。