
柴山由理子・東海大准教授
国政、地方を問わず、選挙において「自分の利益を代表する候補者、政党の選び方が分からない」という声は多く、日本の低投票率の背景に、こうした有権者の戸惑いが大きな要因としてあるのではないかと考える。
他方、筆者の研究対象であるフィンランドは、比較的投票率が高く、間接民主主義が機能しているとの定評がある。投票率は2023年の国政選挙で68・5%、10~20代は60%前後である。フィンランドの事例を参考に、問題を考察してみたい。
▽教科書と政党
フィンランドは、1906年に普通選挙制を導入し、前後で多くの政党が誕生した。一部消滅した政党はあるものの、多数が形を変えながら存続し、第2次大戦後の新たな社...
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