
6月の東京都議選で、街頭演説をインターネットで生中継するスマートフォンの画面=東京都内(画像の一部を加工しています)
政治的な課題をめぐる言説が大きな選挙へと向かって先鋭化していくとき、その言葉は、人々をつないで結びつける紐帯(ちゅうたい)というよりも、人々を分断して切り離す障壁となりがちだ。
本当は属性、利害、考え方などが複雑に絡み合っているはずの個人や集団に、「〇〇人」や「〇〇派」といった雑なレッテルを貼る。味方とそれ以外とを単純に切り分けて、敵(アンチ)に対する攻撃的な言葉を繰り返す。議論と調整の余地を無視し、「これしかない」「これだけが正解だ」と断言して、自分の主張を批判する者を全否定する―。こうした言動は往々にして、事実を無視したり隠したりすることで成り立っている。
「正解」と「事実」とを区別しよ...
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