酒井順子さん
 酒井順子さん

 先日、とある女子中学校の生徒たちの前でお話をする機会がありました。

 その学校に制服はありませんが、生徒たちの一群は、まるで制服を着ているように見えます。地味な色合いのチェックのスカートにネイビーのブレザー、もしくはセーターといった、今どきのなんちゃって制服的な服を、皆が皆、着ているのです。

 学生らしいその服装は、文句のつけようがありません。しかし話が終わって生徒たちからの質問を受け付けた時、一人の少女から、

 「私は学校にチノパンをはいていきたいのですが、誰も着ていないので勇気が出ません。どうしたらいいでしょう」

 との質問が。

 この質問を聞いて私は、「これが同調圧力というものか」と思いました。...

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