
中央大大学院教授の井田良さん
今回の死刑執行は、とても「政治的」という印象です。死刑確定者だった袴田巌さんが再審で無罪となり、再審制度の法改正に向けた議論が始まるなど、死刑制度を見直そうという機運も高まっていました。その時期に、しかも国会会期の終了後に、反対が起きづらい事件を選んで「死刑制度は今後も維持する」という意思表示をしたと言えます。
執行の空白期間が3年を超えると死刑制度そのものが揺らいでしまう、との考えがあったのでしょう。参議院選挙を前に、保守派から「自民党はちゃんとしている」といったような評価を得られるという計算があったのかもしれません。
しかし、制度の見直しを拒んでまで、なぜ死刑制度を維持しようとするのか、...
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