七夕の願いが通じた、などと言えば情緒的に過ぎるだろうか。県内野球ファンにとっては、とびきりの吉報だ。人気と実力ともプロ野球の一線級が集うオールスターゲームに、上越市出身で西武ライオンズの滝澤夏央選手が、監督選抜選手として選出された

▼今季は4月半ばからスタメン起用が続き、セカンドの定位置を勝ち取った。ここまで59試合に出場して打率は2割7分を超える。直近の3試合は1番バッターとしていずれもヒットを打っており、規定打席に手が届く位置にいる

▼昨シーズンは低迷するチームで守備固めや代走での出場が多かったが、今年はAクラスを争う戦いに欠かせぬ役割を堂々と果たす。5月17日のオリックス戦では劇的な初のサヨナラ安打を放つなど存在感を増した

▼昨年の球宴には新潟医療福祉大出身の阪神桐敷拓馬投手が出ているが、滝澤選手は小中高とずっと県内のチームでプレーしてきた。育成契約から4年目の飛躍に、目を細める本県野球関係者は多いだろう

▼球界最小兵の身長164センチで表情は愛らしくもあるが、グラブさばきや思い切りの良さは玄人好みをうならせる。課題だったバッティングも自信を深めたように見える。関根学園高在学当時のプレーが思い出され、感慨深い

▼今年の県勢は日本文理高出身のロッテ田中晴也投手が既に3勝を挙げ、投手陣の柱に育った。テレビのプロ野球中継がめっきり減った今、スポーツ専門チャンネルで見る県人選手の奮闘が、日々の励みになっている。

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