美術館に展示されている丸木位里、俊の「沖縄戦の図」を説明する佐喜真道夫。沖縄戦の体験者からの証言を基に地上戦を描いた=沖縄県宜野湾市
 美術館に展示されている丸木位里、俊の「沖縄戦の図」を説明する佐喜真道夫。沖縄戦の体験者からの証言を基に地上戦を描いた=沖縄県宜野湾市
 米軍普天間飛行場(上)と市街地を飛ぶオスプレイ(左下)、埋め立て工事が進む辺野古沖(右下)のコラージュ
 佐喜真美術館(右)のすぐ横のフェンスの向こうは米軍普天間飛行場。基地の中には墓所などが残されている=沖縄県宜野湾市
 米軍普天間飛行場に着陸するオスプレイ=沖縄県宜野湾市
 美術館の屋上に設けられた小窓は、6月23日の「慰霊の日」に夕日が差し込むように設計されている=沖縄県宜野湾市

 米海兵隊の輸送機オスプレイが飛び交う沖縄県の米軍普天間飛行場。その片隅にたたずむ「佐喜真美術館」(宜野湾市)は戦争の悲惨さを訴える絵画を展示し、平和の尊さを世に問うている。隣接する小さな個人美術館は佐喜真道夫(79)が先祖伝来の地を取り戻し、1994年にオープンした。以来、30年超の歳月が流れた。(敬称略、文・久江雅彦特別編集委員、写真・堀誠編集委員)

 ▽私財投じ収蔵千点

 普天間飛行場の北東の一角をえぐるような土地に、佐喜真美術館(沖縄県宜野湾市)は立つ。入り口にある沖縄特有の巨大な亀甲墓には佐喜真家10代の先祖が眠る。佐喜真家がこの地に住み始めたのは400年前。大規模な畑作を営む傍ら、集落...

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