
太平洋戦争末期に中国で出版された壺井栄の短編集「絣の着物」を手にする北京外国語大の秦剛教授=7月、北京(共同)
反戦小説「二十四の瞳」で知られる作家壺井栄(つぼい・さかえ)の作品を集め、太平洋戦争末期に中国で出版された幻の短編集が北京大図書館で見つかった。戦争に翻弄(ほんろう)される市井の人々が描かれ、日本未発表とされる3作品も収録。短編集は戦火で失われたとみられていたが、80年の時を経て日本でこのほど新装版が出版された。
発見されたのは終戦間近の1945年6月に、旧日本軍の占領下にあった北京で出版された「絣(かすり)の着物」。北京外国語大の秦剛(しん・ごう)教授(56)=日本近代文学=が、戦時下に中国で刊行された日本語雑誌を調査する過程で発見した。当時の毎日新聞北京支局内にあった「月刊毎日社」から出...
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