
中国黒竜江省牡丹江市で、旧日本軍の遺棄化学兵器の発掘作業を行う日中合同チーム=2004年9月(共同)
旧日本陸軍は毒ガス弾を生産した曽根製造所で工員らに被害を出す一方、完成後は中国戦線で大規模に使用し、多くの人を死傷させた。敗戦時に現地で遺棄したため、後に住民を巻き込んだ事故にもつながった。被害と加害を表裏一体で生み出した毒ガス弾は、戦後80年の今も処理が続く。
▽苦悶
曽根製造所では作業を主に民間人が担った。砲弾への毒ガスの充填は防護服とガスマスクを着けた工員が手作業で行い、リスクと隣り合わせだった。健康影響は後々まで及ぶ危険があり、負傷事故の実態を示す報告書を発見した明治学院大国際平和研究所の松野誠也研究員は、工場自体が汚染されており、例えばびらん剤は薄い濃度でも長期間吸えば慢性気管支炎...
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