フェーズ2完結へラストスパートするMrs. GREEN APPLE
フェーズ2完結へラストスパートするMrs. GREEN APPLE

 7月にデビュー10周年を迎えたMrs. GREEN APPLEが10月16日、「Mrs. GREEN APPLEより大切なお知らせ」と題したYouTube生配信を行い、2022年3月18日の活動再開から始まった「フェーズ2」を2025年12月31日で完結させることを宣言。活動休止期間は設けず、現メンバー編成のまま、2026年1月1日に「フェーズ3」を開幕すると発表した。若者に人気の若手バンドから令和の国民的バンドに駆け上がった「フェーズ2」での飛躍ぶりをまとめた。

【表組】Mrs. GREEN APPLEストリーミング累積再生数1億回超え作品一覧

 同時視聴者数65万人を超す注目を集めるなか、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴(Vo/Gt)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Ba)の3人が会見形式で行ったYouTube生配信で、「我々Mrs. GREEN APPLEは、2025年12月31日をもってフェーズ2を完結いたします。フェーズ2の開幕から我々が築いてきた夢のようなかけがえのない時間を大切に保存してしまっておくためにもフェーズ2を完結することを決断しました」と宣言。大森は「僕たちにとって、フェーズを変えるということは、ミセスをより永く続けていくためにも、必要なことです」と話した。

 今回の発表を踏まえてMrs. GREEN APPLEの活動期間を簡潔にまとめると、以下のように分かれる。

・フェーズ1(2013年結成~2020年7月8日)
・活動休止(約1年8ヶ月間)
・フェーズ2(2022年3月18日活動再開~2025年12月31日)
・フェーズ3(2026年1月1日~)

 フェーズ2への移行前には約1年8ヶ月の活動休止期間があり、メンバー2人の脱退もあったが、今回発表されたフェーズ2→フェーズ3への移行に際しては活動休止期間を設けず、メンバー編成も「変わりません」と明言。直前に発表された「GOOD DAY」と、フェーズ1最後の曲となった「Theater」(ベストアルバム『5』収録)とのいくつかのつながりからフェーズ2完結を予想していたファンも少なからずいたが、活動休止がないこと、メンバー編成が変わらないこと、そして、何より来年夏頃に1ヶ月間の長期休暇を取ることが明らかになり、休みなくフルスロットルで活動を続けるミセスを心配するファンをも安心させた。

■Mrs. GREEN APPLEが保持するオリコンストリーミング歴代1位記録集

 Mrs. GREEN APPLEのフェーズ1は若者に絶大な人気を誇り、ストリーミング累積再生数自身最多の7.95億回を記録する代表曲のひとつ「青と夏」をはじめ、「点描の唄(feat. 井上苑子)」「インフェルノ」「僕のこと」などのヒットを連発した。フェーズ2ではビジュアルを一新し、「ダンスホール」ではMVで本格的なダンスにも挑戦するなど、新境地を切り拓いたほか、バラエティー番組にも進出。フロントマンの大森はtimeleszの菊池風磨と初のW主演映画『#真相をお話しします』、NHKの朝ドラ『あんぱん』に出演、若井と藤澤もソロ活動を行うことで活動の幅と知名度が飛躍的に拡大し、3人の仲の良さも好感を得て国民的な人気を確立していった。

 2024年には5ヶ月連続リリース、2025年には6ヶ月連続リリースに加え、大森はソロ作品も発表するなど驚異的なハイペースで新曲を世に送り出し、飽きさせないラインナップでストリーミングシーンを席巻していった。すべての楽曲の作詞・作曲・編曲、さらに作品のアートワークおよびミュージックビデオのアイデアまで、楽曲に関するすべての要素を担当する大森は、フェーズ2の3年9ヶ月の間に37曲もの新曲を生み出した。中でも大きく支持を拡げたのが、2023年4月発表の「ケセラセラ」、2024年4月発表の「ライラック」で、Mrs. GREEN APPLEはこの2曲でバンド史上初となる日本レコード大賞2連覇を達成した。

 Mrs. GREEN APPLEがストリーミングで記録した「アーティスト別1億回再生突破作品数」は、フェーズ1の代表曲「青と夏」、フェーズ2の代表曲「ライラック」をはじめ計28曲にのぼり、歴代1位。なかでも「ライラック」は、前人未到の73週(約1年5ヶ月)連続TOP3入り(24/5/13付~25/9/28付)の大記録を樹立し、同曲を起点としてオリコンのストリーミングランキング歴代記録を次々に塗り替えていった。

 Mrs. GREEN APPLEが保持するオリコンストリーミング歴代1位記録、Mrs. GREEN APPLEだけが持つ記録は枚挙にいとまがなく、25/10/27付(集計期間:2025年10月13日~19日)時点で以下のようになる。

■Mrs. GREEN APPLEが持つオリコンストリーミングランキング「歴代1位」記録
・史上初のランクイン楽曲総再生回数100億回超え(25/7/28付=100億8719万5554回)
・アーティスト別セールス:237.4億円(18/12/24付~)
・週間TOP100に10曲以上ランクイン:95週連続(2024/1/8付~ ※継続中)
・週間TOP100に10曲以上ランクイン:通算119週
・週間TOP100に同一アーティストの楽曲が21週連続で20曲以上ランクイン(2025/4/28付~9/15付) ※Mrs. GREEN APPLEが史上初
・アーティスト別1億回再生突破作品数:28曲
・アーティスト別2億回再生突破作品数:19曲
・アーティスト別3億回再生突破作品数:11曲
・アーティスト別4億回再生突破作品数:9曲
・アーティスト別5億回再生突破作品数:8曲
・アーティスト別6億回再生突破作品数:6曲
・アーティスト別7億回再生突破作品数:4曲
・「ライラック」週間再生数1000万回超え通算週数:34週
・「ライラック」73週連続TOP3入り(24/5/13付~25/9/28付)
・「ライラック」通算74週TOP3入り(24/4/29付、24/5/13付~25/9/28付)
・週間TOP500アーティスト別再生数1.2億回(25/7/21付)
・TOP100内アーティスト別月間再生数:4.9億回(25年7月度)
 ※4億超えはMrs. GREEN APPLEのみ
・週間TOP500アーティスト別再生数1億回超え(25/1/20付・2/3付・2/10付、6/9付、6/16付、7/21付、7/28付、8/11付で記録)
 ※Mrs. GREEN APPLEのみ
・週間TOP100アーティスト別再生数1億回超え(25/7/21付、7/28付で記録)
 ※Mrs. GREEN APPLEのみ
・週間TOP100アーティスト別再生数9000万回超え(25/1/20付・2/3付・2/10付、6/9付、6/16付、7/21付、7/28付、8/4付、8/11付、8/25付)
 ※Mrs. GREEN APPLEのみ

 フェーズ2でストリーミング時代の寵児となったMrs. GREEN APPLEだが、7月8日のメジャーデビュー10周年記念日にリリースしたアニバーサリーベストアルバム『10』の累積売上が95.5万枚とミリオン達成に迫っており、デジタルのみならずフィジカルでの強さも証明したフェーズとなった。

■令和の国民的バンドが“令和歌謡”「GOOD DAY」に込めた覚悟

 飛躍の「フェーズ2」のラストを飾ることになった「GOOD DAY」が9月28日に配信リリースされた。同曲は、大森がブランドリーダーを務めるキリンビールの「キリン グッドエール」CMソングで、同社からの『日本を丸ごと明るくしたい』とのオーダーに共感した大森が書き下ろし。「GOOD DAY」のリリースを予告した9月24日に大森は「この楽曲以前と以降で僕の作家としての想いが変わった、そんな楽曲です」とコメントを残している。

 同曲に込めた並々ならぬ想いは、10月22日にYouTubeで公開された「GOOD DAY」の制作ビハインド映像で明らかになった。大森は「人生を生きる上での楽しげな、前向きになれるアンセムを作りたい。日本中に届ける覚悟で曲を書く」と話し、「各時代にとって良いと言われていたエンタメを全部ハイブリッドにして届ける。この令和時代に。覚悟を持って作った楽曲なので、昭和歌謡ならぬ令和歌謡になるべき」と、令和の音楽シーンを代表するバンドのフロントマンが何度となく「覚悟」を口にしている。

 老若男女誰もが手拍子で一つになれるシンプルでノリのいい曲を目指し、「LaLaLa…」とシンガロングするパートは、なるべく簡単なメロディー、手拍子できるリズムを心がけたといい、参加ミュージシャンとも、緻密な打ち合わせのもとで演奏を構築していることを明かしている。

 大森はビハインドの中で「高度な童謡みたいな曲。なんか聴いて楽しい!歌って楽しい!を超大事にしたい」と話し、サポートメンバーたちには「全年齢対象うねり」なるグルーヴ感を要望。メンバーも「老若男女うねり」と応じ、『日本を丸ごと明るくする』曲作りへの想いの強さが感じられた。ミュージックビデオには大森が「キリングッドエール」CMで共演した鈴木亮平、綾瀬はるか、浜辺美波も出演し、楽曲の明るい世界観を増幅させている。

 大森が目指した「令和歌謡」が老若男女に受け入れられる曲であることは、10月21日放送の『うたコン』で如実に表れていた。当日の出演者は、堺正章、千昌夫、天童よしみ、TOMORROW X TOGETHER、三原綱木、Rockon Social Clubと、『うたコン』らしいラインナップで、NHKホールに集った観客はまさに老若男女。番組中盤にフェーズ2の代表曲となった「ライラック」を演奏すると、トリで「GOOD DAY」を番組専属バンド・music concertoとの生演奏による『うたコン』SPアレンジで披露した。

 フォーマルなスーツに蝶ネクタイ姿のMrs. GREEN APPLEは大勢のダンサーとバンドを従え、ブラスやストリングスを交えた華やかな演奏の中で高らかに「GOOD DAY」を響き渡らせた。客席の老若男女は手拍子しながら「LaLaLa…」と口ずさみ、金銀の紙吹雪が降り注ぐ華やかな演出も相まって、NHKホールは祝祭感に包まれていた。

 大森はビハインドで「この楽曲がいろいろ起こす変化って僕はあると思う。この楽曲前、この楽曲後ぐらいミセスはもしかしたらタームが違うんじゃないかなと思うぐらい、この楽曲は大事だと思う」とも話しており、同曲は週間ストリーミングランキングで登場2週目に4位となり、3週連続でTOP10をキープしている。

 そして、いよいよフェーズ2ラストスパートとなる、自身最大規模の合計55万人動員予定の5大ドームツアー『Mrs. GREEN APPLE DOME TOUR 2025 "BABEL no TOH"』が幕を開けた。愛知・バンテリンドームナゴヤ(10月25・26日)、北海道・大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム/11月1・2日)、福岡・みずほPayPayドーム福岡(11月8・9日)、大阪・京セラドーム大阪(11月15・16日)を経て、東京ドーム4Days(12月15・16・19・20日)でフィナーレを迎える。

 “EDEN no SONO”から始まったストーリーラインと呼ばれるシリーズは、“NOAH no HAKOBUNE”、“Atlantis”、そして今回の“BABEL no TOH”へと紡がれてきた。

 11月28日にはドキュメンタリー映画『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』とライブフィルム『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN』をアーティストとして初となる2作同時公開、12月から2026年3月にかけては、展覧会「MGA MAGICAL 10 YEARS EXHIBITION 『Wonder Museum』」を東京・福岡・大阪で開催と、この後も10周年プロジェクトが目白押しとなっている。

 大森はYouTube生配信で「フェーズ2では目的地を定めて、目的地に向かって進んでいく期間でした。振り返ると、たくさんの素敵な景色を見せてもらいましたが、次のフェーズ3では、これまで築いてきたものをしっかりと守りながら、ミセスのいまを、目的地ではなく『現在地』を大切にする期間にしたい」「フェーズ3ではより深く音楽を届けたいと思っています」と表明している。目的地の一つであったであろう5大ドームツアーを経て、どのようにフェーズ2を完結させ、フェーズ3へと突入するのか、期待が高まる年末年始となりそうだ。