北越工業の小型コンプレッサーの組み立て工程現場。女性が働きやすい環境を整える=燕市
北越工業の小型コンプレッサーの組み立て工程現場。女性が働きやすい環境を整える=燕市

 人手不足が深刻化する中、製造や建設などこれまで女性の少なかった業界でも、女性の採用や育成に積極的な企業が増えている。多様な人材を生かし、イノベーション(技術革新)や市場競争力の創出を目指す「ダイバシティ経営」の観点でも対応が求められており、新潟県内でも性別に関係なく働きやすい環境整備や女性活躍の推進に力を入れる傾向が強まっている。(報道部・荒川葉子)

◆転勤不可でも管理職に!多様性確保へ人事制度一新・北越工業

 東京証券取引所の最上位プライムに上場する建設機械製造の北越工業(燕市)は、女性の採用強化や管理職登用の推進に向け、2024年4月に人事制度を一新した。これまで一般社員から管理職までの一貫したコース設計だけだったが、転勤や異動を伴わないコースと原則的に転勤や異動があるコースに分けた。本人の希望で両方を行き来できる仕組みにし、転勤ができないなどの制約があっても、管理職として登用できる等級も増やした。

 建設機械製造という業界で男性比率が高いが、多様性を重視する経営方針から女性の採用や育成に力を入れ始めている。人事制度改革で女性社員が事務職から設計職にコース転換した例も出てきた。執行役員の笠輪信彦・管理本部長は「家庭の事情で転勤できない女性も、管理職を目指せる環境にした」と意義を語る。

 女性従業員比率は24年3月末現在で16・4%。重量物の運搬を補助する設備導入など労働環境を整備し、工場内で女性が働きやすいように工夫する。女性専用休憩室やパウダールームも完備した。

コンプレッサーや発電機を製造する北越工業の工場。最終工程ラインで、製品にステッカーを貼る女性社員=燕市

 ただ、女性社員のキャリアアップは今後の課題だ。女性管理職比率は1・7%にとどまり、女性役員はいない。東証が女性登用を促す中、笠輪本部長は「多様性確保に向け、これまで同性ばかりが部下だった男性管理職も意識を変えなければならない」とする。

◆働きやすさが“第一”!女性特有の健康課題に配慮・第一建設工業

 東証のスタンダードに上場し、線路の敷設などを手がける第一建設工業(新潟市中央区)も男性の多い職場環境だ。2024年3月末現在、社員の女性比率は7・5%。管理職全400人のうち、女性は1人だけだ。

 建設業は人材確保が課題となっている。第一建設工業の内田海基夫(みきお)社長は「女性の働き手が増えることは大きい」とし、女性採用には積極的だ。近年、建築や土木などの専門性を持つ女性技術者も増えている。

 同時に職場環境の整備を急ぐ。建設現場での...

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