待鳥聡史・京都大教授
 待鳥聡史・京都大教授

 日本の行方を占う参院選が始まった。内外の課題が山積する中で、選挙戦では何が問われるのか。識者が論じた。

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 2024年の衆院選で自民、公明両党が少数与党となって以来、政治におけるリーダーシップの在り方は大きく変容した。石破政権では、自民党内や与党内の合意形成より、国民民主党や日本維新の会など一部野党との協力をいかに得るかに重きが置かれてきた。その結果、重要な法案であればあるほど、石破茂首相が独自のカラーを出すのは難しくなった。

 しかも、野党との合意形成は国会での議論を通じてではなく、水面下での政党間協議によってきた。選挙中に協力関係を明確にしなかった野党と、連立せずに政策を進める...

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