
「地域映画」の制作に向け、フィルム提供者(右)や大学生スタッフと映像を確認するプロデューサーの三好祐子さん(左から2人目)=2024年4月、長野県松本市(まつもとフィルムコモンズ提供)
ホームビデオが普及する以前、戦後復興を経て日本経済が急成長した時代の記録媒体、8ミリフィルムは今、持ち主の高齢化や経年劣化で危機にひんしている。
長野県松本市の市民団体「まつもとフィルムコモンズ」は、押し入れに眠る「宝物」に再び命を吹き込もうと、人々が昭和の日常風景を切り取った8ミリフィルムを収集。子どもの成長や行事といった映像に、フィルム提供者や家族の現在の姿を織り交ぜた「地域映画」2作品を製作してきた。
監督の三好大輔さん(53)が8ミリの力に「打ちのめされた」のは20年近く前。結婚式のビデオ制作を頼まれ、渡された素材の中に、幼い娘の姿をひたすら追う映像があった。父の愛を感じ涙が止まらな...
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