元米通商代表部交渉官のデービッド・ボーリング氏
 元米通商代表部交渉官のデービッド・ボーリング氏

 日米関税合意の大きなポイントは、最大の争点だった自動車への25%の追加関税に関し、トランプ大統領が大幅に譲歩したことだ。日本車の場合、前から課されている2・5%と合わせ、関税率は計15%になる。

 日本にとっては(現実的に見て)10~15%が最良のシナリオだったから、何とか目標に近づいた。15%は高関税だが、主要な対米自動車輸出国である韓国やドイツも日本並みの関税率を要求してくることを考えると、米側も相当譲歩した。

 日本は年間約330万台の車を米国で現地生産し、多くの米国人を雇い入れ、米経済に貢献している。だから石破茂首相は自動車関税をゼロにすべきだと主張した。日本が原則論に立ったことで、トラ...

残り576文字(全文:876文字)