政治アナリストの伊藤惇夫氏
 政治アナリストの伊藤惇夫氏

 石破茂首相の退陣が不可避になった。昨年の衆院選、今回の参院選と国政選挙に2連敗した責任を取るのは当然だ。首相は自民党内の基盤が弱い。いったんは続投を表明したが、地方組織を含めて党内のあらゆる方向から辞任を求める声が噴き出し、それに抵抗するパワーを持たなかった。

 ここまで追い詰められたのは森山裕党幹事長の責任も大きい。衆院選での、いわゆる裏金候補への2千万円支給を主導したのは森山氏だった。消費税減税に抵抗し、給付金を参院選公約として復活させたのもそうだ。

 しかし、こうした森山氏しか頼る相手がいなかったのが首相の限界だった。続投表明は、首相の地位に就いた者として、せめて米国との関税交渉で実績を残...

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