
杉山晋輔・早稲田大特命教授
日米関税交渉が合意した。既に自動車と自動車部品に課されていた25%の関税を15%に引き下げ、8月1日からの発動が迫っていた25%の相互関税も15%に抑えることができた。半導体や医薬品については、経済安全保障の観点から他国・地域より不利となる扱いは受けないとし、コメに関してはミニマムアクセス(最低輸入量)の枠内での調整にとどまった。
日米間には貿易協定やデジタル協定があり、お互いが重要な同盟国同士なのだから、法的にも政治的にも日米関係の在り方に整合しているとは言い難い。だが、トランプ米大統領が関税を強く信奉し、日本だけでなく各国・地域に対して強硬姿勢を崩さない状況において、いいディールができた...
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