
「☆(口ヘンに虚の旧字体)と隣人」
ミステリーの人気作家である著者が、新たなシリーズをスタートさせた。本書の連作5編に共通するのは、日常と隣り合わせにある恐怖。小さなうそや悪意が発端となり、日常がひび割れて崩れ落ちていく物語だ。
主人公は、定年退職した元刑事・平良正太郎。妻と娘、孫もいて、穏やかな生活を送っていたが、身近な人からの相談や身の回りで起きた出来事をきっかけに、事件に関わることになる。
冒頭の収録作は「かくれんぼ」。公園で子どもの見守りをしていた母親に急用ができ、居合わせたママ友にわが子の見守りを短時間だけ頼む…という状況が、思わぬ事態に転がっていく。
表題作「☆(口ヘンに虚の旧字体)と隣人」では、交流サイト(SNS...
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