指宿信・成城大教授
 指宿信・成城大教授

 福井中3殺害事件の再審公判で、名古屋高裁金沢支部は18日、異例の判決を言い渡した。本件は無罪の一審判決に検察官が控訴した裁判のやり直しなので、ひと言「検察官の控訴には理由がない」として棄却し、無罪を確定させることができたのだ。ところが、読み上げだけでも3時間に及ぶ大部かつ詳細な事実認定を裁判所は行った。ここに大いに意味があると言わなければならない。

 つまり、裁判所が元被告の前川彰司さんを犯人だと推測させる有罪判決の根拠となった関係者供述を徹底的に吟味し、その信用性をことごとく否定したうえ、そのような供述を作り出した警察の不当な誘導・示唆の存在をはっきりと認めた。

 翻って、関係者の供述を信用し...

残り1101文字(全文:1401文字)