
新潟県は国内有数の酒どころです。家族や友人との会合、地域のお祭り…さまざまな場面で、お酒が飲まれています。お酒は人間関係を円滑にする手段として親しまれてきた一方、度を過ぎた飲酒は依存症につながり、日常生活を壊します。
家族を失った人、罪を犯した人、命を絶とうとした人…。アルコール依存症に伴うさまざまなトラブルから「お酒を飲まない生き方」を目指す人々の自助グループの一つにAA(アルコホーリクス・アノニマス)があります。県内では活動を始めて今年で40年を迎えました。9月28日には新潟市江南区で節目のイベントも開かれます。「怪しい宗教じゃないの?」と、時に誤解も受けるというAAとはどんな組織なのか、メンバーはなぜ活動に参加するのか。当事者に話を聞いてきました。
AAは1935年、米国オハイオ州で共にアルコール依存症に悩んでいた証券マンのビル・ウィルソンと外科医のボブ・スミスとの出会いから始まりました。自力では断酒を続けられなかった2人ですが、定期的に集まり、互いに飲酒に関する体験を語り合う中で、飲酒したいという欲求が取り除かれたというのが活動の原点でした。
AAは現在180以上の国と地域に10万以上のグループがあります。日本では75年に東京・蒲田で活動が始まり、新潟県では85年に長岡市にグループができたのを契機に今では10グループ、約30人が活動しています。

活動の柱はミーティングです。メンバーは週に数回集まって、「12ステップ」と呼ばれる回復プログラムを読み合わせたり、これまでのお酒に関するエピソードについて語り合ったりします。 無名のアルコホーリク(飲酒に問題を抱える人)たちというグループ名の通り、メンバーは匿名で、本名ではなく、ニックネームを名乗ります。ミーティングの際は「言いっぱなし、聞きっぱなし」が基本。各自が話す体験談に対して原則、質問や指摘はしません。
柏崎市を拠点に活動するAAさざなみグループのHさん(50代、中越地方在住)は「1人で依存症と闘うのは難しい。ミーティングで自分の過去を話し、仲間の話を聞く中で、いかに自分が狂っていたかを見つめ直せた」と振り返ります。

AAの活動が県内で始まった当初からのメンバーであるSさん(80代、中越地方在住)は自身の体験を次のように告白しました。...