佐渡海洋深層水の分水施設で、顧客のポリタンクに水を入れる従業員=佐渡市多田
佐渡海洋深層水の分水施設で、顧客のポリタンクに水を入れる従業員=佐渡市多田

 佐渡市の活性化を目指し、約20年前に始まった県内唯一の「海洋深層水」に転機が訪れている。市は財政事情を理由に、2026年度に利活用施設(佐渡市多田)の一部を無償譲渡する方針を打ち出した。既に公募を始めたが、引受先がなかった場合は「廃止の可能性もある」としている。深層水を利用した商品を販売する島内事業者には、先行きを不安視する声もある。

 海洋深層水は、太陽の光が届かない水深200メートル以上のエリアにあり、水温は年間を通じて低く一定。菌の繁殖を抑えることができ、ミネラルを豊富に含む。海洋深層水利用学会によると、1989年に高知県室戸市に国内初の取水施設ができ、現在は全国15カ所にある。

 佐渡の...

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