【2022/06/12】
◆安心できる街づくりを 西村氏(立憲民主)
新潟の県勢が失われた要因の一つは、政治の失敗、政策の失敗だ。地方より都会で暮らす方がよりいい生活ができるという考え方が染み通ってしまった。
この数年の動きを見ても、例えば介護福祉士を養成する学校を卒業した人たちが、地元ではなく首都圏で就職してしまう。住居や給与面で待遇がいいからだ。給与の面は政治が介入できる部分が大きい。所得の格差を埋めていく政策ができてこなかった。
本県に限って言うと、公共交通網の発達で利便性は上がったが、県内での移動よりも首都圏との行き来が増え、ストローのように人が吸い取られた。東京から見れば新潟は終着駅のままであり、日本海の表玄関としてのつながりも生まれなかった。

西村智奈美氏
今は政策によって住む場所を選ぶ時代だ。どの世代でも、どんな環境に置かれている人たちでも安心して住んで良かった、と思えるユニバーサル(多様な人に対応し普遍的)な街づくりが必要だろう。そのための政策に取り組んでいく。
本県としては日本海側の拠点都市として公共インフラの整備も大切。港の整備も必要だし、広大な県土を生かした宇宙産業の誘致も考えられる。優位性を生かすために必要なことはやっていきたい。
選挙制度については、衆院は現行の小選挙区比例代表並立制の下で2度、政権交代が起こった。緊張感のある政治、税金の無駄遣いをさせない行政監視の体制を維持するためにも、現行の制度を採り続けていくべきだ。
一方で、死に票の多さや比例で復活当選するという分かりにくさもある。得票率で4割程度の政党が、6割、7割の議席を得ていくバランスの悪さもある。これらは手直しをしていかなければならない。
◆候補者選定で予備選も 細田氏(自民)
衆院選が中選挙区制の時代は派閥政治の弊害が大きかった。自民党は複数の候補者同士で戦うので、派閥が力を持ち、党の主体性がなかった。金を渡すということもあった。1996年に今の制度が導入されて金の問題は少なくなり、有権者にとっても分かりやすい仕組みになった。昭和の時代と違って権力が官邸や党に集中するようになり、政権交代も起きた。基本的には今のままでいいと思う。
ただ、小選挙区制は政党や党のマニフェストを選ぶ制度だが、有権者は(候補者の)人物を見極めた上で選びたいという意識が強い。だからといって中選挙区制を復活させると、昭和の時代のような派閥政治に戻ってしまう。政党が候補者選定の過程で魅力ある人物を選ぶようにしたり、党で予備選挙をしたりすることも必要だと考える。

細田健一氏
定数が10増10減になれば、人口減少地域はどんどん議員数が減らされてしまう。人口だけでなく面積や歴史的経緯も踏まえた選挙制度にするという憲法改正が必要だ。国民的議論をしてもいいのではないか。
県勢失速の要因は本県の立地優位性をうまく生かし切れなかったからだ。北陸新幹線が開通するまで、新潟市は日本海側で唯一、フル規格の新幹線が通る都市で、日本海側のハブ(拠点)になるという意思を示すべきだった。富山市や金沢市との都市間競争が進むのを見越して何をすべきか、という議論がないまま時間を空費してしまった。
本県と東京は(新幹線で)約2時間でつながっていて、放っておくと良い人材が流出してしまう。社会減をどうするかが最大の課題で、起業や農業などで若い人が喜んで働けるような場所をつくるのが全ての基本だ。農政や地場産業の振興、地域のインフラ整備などに尽くしていきたい。