イラスト=デジタル・グラフィックスセンター 高橋佐紀

 「10歳の壁」という言葉を耳にするようになりました。子どもが小学4年前後になると、口答えが多くなったり、親の言葉を無視するようになったりして、心配している人も少なくないと思います。子どもへの接し方などについて、発達心理学の専門家にアドバイスをもらいました。

Q 10歳の壁とはどういったことを言うのでしょうか。

A 10歳前後に迎える、子どもの発達時期のことです。思考力や理解力が増し、論理的に物事を考えるようになります。「親の言っていることは正しいのか」など、抽象的なことも考えられるようになります。言葉も育ってくるので、反抗的になったと感じる親は多いでしょう。

Q 個人差で10歳の壁がないケースもあるのでしょうか。

A 個人差はありますが、成長していく中で現れます。壁というと「ない方がいい」というイメージですが、誰もが通る道です。思春期に迎える反抗期の入り口でもあります。

Q 子どもたちも勉強や運動面などで、壁を感じているのでしょうか。

A 小学校の勉強が難しくなる時期です。例えば算数では小数や分数など抽象的な問題が増えてきます。同時に自分を客観的に見ることができるようにもなる時期なので、自分が苦手なことに気付いたり、他の子と比べて自分が劣っていると感じたりします。そうしたもどかしさをうまく表現できないと、反抗的な態度になるのです。

Q 親はどんな心構えで子どもと接すればいいでしょうか。

A 親は先回りしていろいろと言いがちです。まずはゆったりと構え、話を聞いてあげてください。反抗的な態度も育ちの一過程です。否定的に考えず、「順調に育っている」と思うようにしましょう。

(新潟県立大の角張慶子准教授に聞きました)

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