
何でも便利な時代、写真はスマートフォンなどで「素早く」「簡単に」撮る人が多いだろう。けれど、あえて少し手間のかかるフィルムカメラを使い、デジタルとは別の奥深い味わいを楽しむ人たちがいる。
記者もその一人だ。大学2年だった3年前、友人にフィルムカメラを貸してもらったことがきっかけで、初心者向けのフィルムカメラを買った。
フィルムカメラは操作手順がある上、現像するまでどんなふうに写っているか分からない。24枚や36枚など撮影枚数は限られるので「今だ」と思った時にだけシャッターを切る。
当初はスマホで何枚も撮った後に好きな写真だけ残すという方法に慣れていたため、少し面倒に感じた。ただ、それだけに思い出が強く印象に残って楽しかった。
新聞写真も20年ほど前まではモノクロ写真が主流でフィルムカメラで撮影していた。暗室と呼ばれる部屋で現像作業もしていた。先輩記者たちは納得の1枚ができるまで工夫を凝らしたという。
デジタルや人工知能(AI)の時代といわれる中、フィルムカメラは危機にある。新潟市中央区女池南の「タカナシ・カメラ・チェーン新潟桜木店」によると、撮影に欠かせないフィルムは、デジタルカメラが普及してニーズが減ったことや、原材料の高騰で2、3年前から一気に値上がりした。フィルムをあきらめてしまう人も増え、現像機を置く店舗も減ったことから、現像代も上がった。
かつては写真店などに頼むとすぐに現像してもらえたが、今は1週間程度かかることもある。
そんな中でも「写真を無駄にしないようにする意識が芽生える」「現像するまでワクワクする」とあえてアナログなフィルムカメラを選ぶ人がいる。
お金も手間もかかるが、こだわりながらフィルムカメラを楽しむ愛好家2人を訪ね、その魅力に触れた。...
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