佐渡の金山について児童に解説する伊藤政幸さん。出前授業は市民団体メンバーも講師を担っている=5月2日、小千谷市の片貝小学校
佐渡の金山について児童に解説する伊藤政幸さん。出前授業は市民団体メンバーも講師を担っている=5月2日、小千谷市の片貝小学校

 世界文化遺産1975年に発効した世界遺産条約に基づき、歴史的建造物や遺跡を対象にユネスコが人類共通の財産として登録する。国内では姫路城などが登録されている。世界遺産にはほかに、貴重な生態系などの自然遺産と、文化と自然の要素を併せ持つ複合遺産がある。登録の可否は世界遺産委員会が決める。登録を目指す「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」(新潟県佐渡市)。6月初めまでに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が登録すべきかどうかを勧告し、7月下旬にインドで開かれる世界遺産委員会で登録の可否が審議される。登録に向けては、新潟県内を盛り上げようと、子どもたちへの教育や企業による地域貢献も進められてきた。「佐渡を世界遺産に」を合言葉にした取り組みを振り返る。(2回続きの1)

 「江戸時代、佐渡金山では全て手作業で金を産出した。坑道の長さは新潟-東京間よりも長いのです」

 5月上旬、小千谷市立片貝小学校の6年生約40人に、市民団体「佐渡を世界遺産にする新潟の会」の伊藤政幸さん(80)=新潟市西区=が語りかけると、児童は熱心にメモを取った。

 片貝小の6年生は5月下旬に修学旅行で佐渡を訪れる。事前学習の一環で開かれたのが、この日の出前授業だ。授業を終えて、児童(11)は「佐渡についてよく分かった。世界遺産になって、世界中の人に魅力を知ってもらえるといい」と目を輝かせた。佐渡出身の伊藤さんは「子どもたちの学ぶ姿を見て、自分自身も元気をもらっている」と笑った。

佐渡の金山について児童に解説する伊藤政幸さん=5月2日、小千谷市の片貝小学校

 新潟県は2009年から小中学生を対象に、...

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