4月下旬の衆議院3補欠選挙は二つの不戦敗を含め自民党が全敗した。自民党派閥の裏金事件で野党が攻勢を強める中、長岡市や柏崎市を含む新・新潟4区長岡市、見附市、小千谷市、柏崎市、出雲崎町、刈羽村でも攻防が激化している。立候補を予定するのは立憲民主党現職の米山隆一氏(56)=旧新潟5区=、いずれも自民党現職の鷲尾英一郎氏(47)=比例北陸信越=、泉田裕彦氏(61)=比例北陸信越=。東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。の再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。への各氏の考えを含め、最新情勢をまとめた。

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4区は東京電力柏崎刈羽原発が立地し、大半が原発から30キロ圏の原子力災害対策重点区域原子力災害発生時の避難や屋内退避に備え、対策を重点的に講じておく区域。放射線量を測るモニタリングポストを置くほか、住民に避難の指示を確実に伝えるための防災無線や広報車の整備、緊急用の移動手段の確保などが必要とされている。東京電力福島第1原発事故の後に範囲の目安が見直され、原子力施設の半径10キロ圏から半径30キロ圏に拡大された。半径5キロ圏は即時避難区域(PAZ)、半径5~30キロ圏は避難準備区域(UPZ)とされる。に含まれる。柏崎刈羽原発7号機では、原子炉に核燃料を入れる燃料装塡(そうてん)が4月26日に終わるなど、再稼働に向けた準備が最終段階に入っている。国も地元同意新規制基準に合格した原発の再稼働は、政府の判断だけでなく、電力会社との間に事故時の通報義務や施設変更の事前了解などを定めた安全協定を結ぶ立地自治体の同意を得ることが事実上の条件となっている。「同意」の意志を表明できる自治体は、原発が所在する道県と市町村に限るのが通例。日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)を巡っては、同意の権限は県と村だけでなく、住民避難計画を策定する30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)内の水戸など5市も対象に加わった。に向けて本格的に動き出し、3月下旬には経済産業省資源エネルギー庁の村瀬佳史長官が花角英世知事と面会。再稼働への理解を求めた。
こうした動きに、4区に立候補予定の3氏はいずれも、比較的冷静な見方を示す。
政府は以前から再稼働を目指しており、立民の米山隆一氏は「新味はない」とする。自民の鷲尾英一郎氏も「進められる準備をしているということ」と受け止める。自民の泉田裕彦氏は災害時の住民避難に課題があり「(装塡を)議論する必要がない」とし、議論自体が時期尚早とする。