
時にドラマチックな展開が起こるのが、一発勝負のトーナメントだ。サッカーの天皇杯全日本選手権。その舞台で話題をさらったのは、日本唯一のサッカー専門学校をうたう「JAPANサッカーカレッジ(JSC)」だった。9年ぶりに新潟県代表として本大会に臨むと、6月12日の2回戦で、J1の名古屋グランパスを1-0で下し、ジャイアントキリング(番狂わせ)を成し遂げた。JSCとはいったい、どんな学校、チームなのか-。7月10日に予定された3回戦が雷雨で順延となる、まさかのアクシデントも乗り越えて、7月17日のJ2レノファ山口FC戦に臨むチームを紹介する。(運動部・野上貴)
(7月10日の試合が雷雨で順延となったため、再編集しました)
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◆150人の生徒らが長時間かけ応援に
7月10日。山口のホームスタジアム、山口市の維新みらいふスタジアムは雨に包まれた。約150人の生徒、スタッフが応援に来ただけに、金子俊也監督は「残念のひと言に尽きる」と表情を曇らせた。

生徒らは深夜から10時間以上かけ、バスで会場入り。だが、悪天候で開始時間が30分遅れ、最終的に取りやめとなった。主将のMF石橋樹は「たくさんの方が来てくれたのに。悔しいし、申し訳ない」と残念がる。
試合は1週間後に持ち越しとなった。サッカー専攻科2年の生徒(19)は「(交通費の関係で)次は応援に行けるか分からないが、頑張ってほしい」とエール。石橋も「1週間、良い準備をして臨みたい」と気持ちを切り替えていた。

学校はクラウドファンディングで遠征費などを募ってチームを支えている。選手たちにとっても自らのサッカー人生の中で、このチャンスに懸ける気持ちは強い。何よりも、J1名古屋から大金星を挙げ、注目を浴びる中での戦いを楽しみにしている。
◆Jクラブなどに多くの人材を輩出
聖籠町にあるJSCは、2002年に創立。学校は、旧聖籠町立亀代中の校舎を再利用している。プロを志す選手のほか、選手をケアするトレーナー、試合運営に携わるスタッフなど、サッカー関連の仕事に関わりたいという若者が専門技術などを学ぶ。60あるJクラブのうち、59クラブに卒業生を輩出しているという就職実績がある。
JSCのトップチームは発足以来、日本フットボールリーグ(JFL)への昇格を目指している。ただ、その目標は実現していない。今季も北信越リーグ1部や全国社会人選手権を戦った先に、JFLへの参入を見据える。リーグ戦は現在2位。北信越リーグはJ1から数えていくと、実質的には5部リーグにあたる。そのチームが国内トップのJ1のチームを破ったのだから、驚くのも当然だ。
今季のメンバーは、高校を卒業したばかりの10代から非常勤講師の30代と、幅広い年代が所属する。最年長で...