
信濃川との合流点近くの五十嵐川。7・13水害後の河川改修で川幅が広がった=三条市
新潟県内で15人が犠牲になり、約1万4千棟の住宅が被災した2004年の7・13水害2004年に新潟県の三条市や中之島町(現長岡市)などを中心に被害をもたらした水害。7月12日夜から猛烈な雨が降り、13日午後、五十嵐川や刈谷田川の堤防が決壊し、住宅や田畑に濁流が流れ込んだ。県のまとめでは、三条市9人、中之島町3人など計15人が死亡し、82人が重軽傷を負った。住宅被害は全壊71棟、半壊5657棟。床上浸水は1882棟、床下浸水は6197棟。約1万8千人が避難した。から、7月13日で20年となる。水害では、三条市の五十嵐川や見附市、中之島町(現長岡市)の刈谷田川が決壊し、濁流が市街地をのみ込んだ。被害を教訓にした河川整備が行われ、いざという時に備えた避難訓練も続けられている。一方で、気候変動により豪雨が頻発化。過去の想定や知見を超えるレベルで防災を考える必要に迫られている。命や財産を守るための備えは十分なのか。(4回続きの1)
「堤防を丈夫にしてもらい、安心した」。五十嵐川の破堤地点から500メートルほどの三条市諏訪2に暮らしてきた男性(77)は、水害後の河川改修を振り返る。
自宅と作業場は破堤地点よりやや上流側にあるが、水害では腰の下ほどまで浸水。家財道具や仕事で修理するため預かっていたストーブなどが、泥水に漬かって駄目になった。
その後に始まった河川改修では堤防の強化に加え、大雨になってもしっかり水を流せるよう、河道の掘削や拡幅が行われた。信濃川との合流部では、約70メートルだった川幅が約110メートルに広げられた。工事に伴い約400棟が移転を余儀なくされるなど、市民の暮らしにも大きな影響が出た。
男性は2010年度まで続いた工事の間、...
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