
新潟県上越市の中川幹太市長(49)の任期が残り1年を切った。副市長4人制導入を今任期中断念するなど主要な公約は実現せずに3年が経過。この間失言を繰り返し、2024年6月の高卒者への不適切発言を巡り、市議から不信任決議案を提出された。上越市政始まって以来の事態に至り、市議会との関係はさらに悪化。新潟県第3の都市のリーダーとして、資質を問う声が上がっている。(5回続きの2)
元日に上越市で最大震度5強を観測した能登半島地震。それから半月後の1月14日。市内のある宴会場に中川幹太市長(49)はいた。壇に立ちマイクを手にするとカラオケを熱唱し始めた。
「会に出席するのはいいとして、カラオケまで歌うとは」。出席者の一人はがくぜんとした。「市長、あれでいいのか」と会場もざわめいた。
能登半島地震で上越市の海岸沿いでは津波被害があったほか、当時900件超の住家被害が発生するなどして市は対応に追われていた。市役所内には地震災害対策本部が設置されており、そのトップは他ならぬ市長。市民の前でカラオケに興じる市長に「緊張感が足りない」との声が出た。
市議会でも問題視された。本城文夫市議は9月定例会本会議で「あいさつをして退席したり、代理を立てたりはできなかったのか。危機管理意識に不安を感じる」と指摘した。
市長は当時、地震の影響により、飲食店などでキャンセルが相次いでいたことを考慮し、支援の意味も込めて会合に出席したという。カラオケについては「音楽関係団体の会合だった。時期が時期だけに本当は歌いたくなかったが、歌わないと場の雰囲気が壊れるかなと思った」と釈明する。
▽震災当日に登庁できず…理由は「飲酒」
市長の元日の対応も議論を呼んだ。
市西部の山あいにある桑取地区在住の市長は発災当初、自宅から市役所へのルートとなる国道8号や北陸自動車道が通行止めになり、登庁できなくなった。元日夜に開かれた対策本部会議にはリモート参加して指示を出した。登庁したのは翌朝だった。
この反省から市長は自宅に衛星電話を置き、大雨など災害が予想される時は市中心部に泊まり、すぐ登庁できるよう備えている。
市議会からは「オンラインで指示して災害対応に支障がなければいいのでは。市長が事故に遭ってしまうよりはいい」(ベテラン市議)との受け止めがある一方、「有事に市長が登庁できないのは問題だ」との声も上がる。
「市民は大変な状況だった。現場をすぐ見に行こうという気持ちにはならなかったのか」。市議会3月定例会で元市長の宮越馨氏は中川市長を批判した。
市長は...