
谷根川で行われた鮭漁。捕獲数が減少している=22日、柏崎市青海川
新潟県の柏崎市さけ・ます増殖事業協会(柏崎市)が谷根(たんね)川で取り組む鮭増殖事業が、記録的な鮭の不漁で厳しい状況に陥っている。11月20日時点での捕獲数は、この時期としては過去最低の559匹にとどまる。ふ化事業や加工品販売への影響は必至で、23日に開催予定だった「さけ豊漁まつり」も中止する。
11月22日午前8時半、谷根川の河口付近で、協会のメンバー6人が鮭漁に精を出していた。上流には鮭の遡上(そじょう)を妨げて捕るウライがあるが、その手前にとどまる鮭を投網で捕まえる。この日は46匹を捕獲した。
漁期は12月10日ごろまで続く見通し。捕獲した鮭から卵を取り出し、人工授精して稚魚に育て、翌年放流する。協会の鮭鱒増殖部会長の片山洋一さん(74)は「卵が目標数に届くか、心配だ」と危機感を募らせつつ、「稚魚が戻る3、4年後を見据え、少しでも多く採卵して放流につなげたい」と語る。
「さけ豊漁まつり」は、協会が市民と鮭の大漁を祝おうと1986年に始めた。池に放った鮭を子どもたちに捕まえさせたり、味噌漬けなどの加工品を販売したりして、1日1000人以上が訪れる柏崎の晩秋の名物イベントだった。2年連続の中止となる。
▽稚魚として放流するための卵も減少、確保へ懸命
協会は、柏崎市、新潟漁業協同組合柏崎支所、青海川町内会で構成。柏崎さけのふるさと公園(青海川)を拠点に、採卵、稚魚の飼育、放流に取り組んでいる。
2015年度に過去最高の2万416匹を捕獲した鮭漁だが、近年は振るわず、18年度から23年度までの6年間は、20年度が5095匹とかろうじて上回ったものの、...
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