子どもの安全が脅かされる事態が学校で相次いでいる。安全安心が大前提となる場所であり、見過ごすことはできない。
上越市教育委員会は、直江津小で漂白剤が入った水を児童が誤飲する事故があったと発表した。
ジャグと呼ばれる容器に水をため、教諭が漂白剤を入れて消毒していたところ、教頭が消毒中と気付かず児童に提供した。
上越市では近くの直江津南小で4月、教室に立てかけてあった蛍光灯が倒れて破片が給食に混入し、教員が給食を中止せず、破片を取り除いて食べさせる不適切な対応があったばかりだ。
漂白剤入りの水の提供は、給食の破片混入を受け、市教委が「口に入る物については細心の注意を払うように」と、各校に再発防止の取り組みを報告するよう求めている最中に起きた。
いずれも健康被害は確認されていないが、安全意識が欠けていると言われても仕方がない。保護者から「子どもを預ける身として、とても不安」といった声が上がるのも当然だ。
漂白剤の事例は、消毒の作業過程が分かるように張り紙をするなど、教職員間で情報を共有していれば防げただろう。
破片混入は、市のマニュアルでは異物が混入した可能性がある場合には給食を中止することになっていたが、守られなかった。
各学校は改めてマニュアルを確認し、ミスを防がねばならない。教室に蛍光灯を放置する危険性にも想像力を働かせる必要がある。
上越市では2022年から3年連続で給食に関わる食物アレルギー事故が発生している。
新潟市でも2月に、中央区の小学校で児童3人がアレルギー物質を含んだ給食を食べ、アレルギー症状を発症した事例があった。
保護者向けの献立表に、アレルギー情報が記載されていなかったことが原因だった。アレルギー反応は重篤な症状に至ることがあるため、細心の注意が必要だ。
相次ぐ飲食に関するトラブルの原因を究明し、再発防止策を講じてもらいたい。
気を配るべき点は飲食だけではない。奈良市では、部活動中のサッカー部員ら中高生6人が搬送される落雷事故が発生した。顧問が雷注意報を認知していなかった。
理科の実験中に、硫化水素を吸った生徒が体調不良を訴える事例も後を絶たない。
同じミスが繰り返されないように各学校は情報を共有し、大切な子どもたちを守ってほしい。
自分の学校で起こったらどうするのか、人ごととは考えず、その都度話し合う姿勢が必要だ。
教員が多忙なことは、保護者を含め多くの人が理解している。とはいえ、学校の安全については、決しておろそかにしてはならないと、強く自覚してもらいたい。