
学校蔵の酒造り体験プログラムを手伝う和田航季さん(中央)、麻帆さん(左)=6月、佐渡市西三川
もともとは継ぐつもりのなかった家業の酒蔵。だが、日本酒文化を発信し続ける両親の姿が、社会人になってから胸に迫った。和田麻帆さん(29)=旧姓・平島=は、夫の航季さん(28)=川崎市出身=と4月、尾畑酒造に入社。創業130年を超す老舗を未来につなごうと、10年ぶりに故郷へUターンした。
海外輸出を始めたのは5代目蔵元の母、尾畑留美子専務(59)と、父の平島健社長(60)だった。国内外を飛び回り、月の半分は家を空けるのが当たり前。「なんて忙しい家に生まれたんだろう」。家業の広がりとは裏腹に、前向きな思いは抱けず、大学進学を機に“片道”のつもりで島を離れた。
都内に就職したが、...
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