【シネマ】「近畿地方のある場所について」

　小説投稿サイト発のベストセラーを原作とした映画「近畿地方のある場所について」。誰もがスマートフォンで映像を撮影でき、インターネットが怪談の舞台になった現代社会において、真正面から「いかに映画で人々を怖がらせるか」と向き合ったホラーだ。

　原作を未読の観客にはフレッシュな恐怖を届け、原作ファンには活字から映像への「恐怖の変換」の巧みさがゾクゾク伝わる。猛暑の夏にぴったりなエンターテインメントに仕上がっている。

　あるオカルト雑誌の編集長の謎めいた失踪から始まる物語。ライターの瀬野（菅野美穂）と編集部員の小沢（赤楚衛二）が、編集長の残した断片的な取材資料を調べると、謎が近畿地方のある場所へとつながっ...